ダイヤモンドのカットの歴史
ダイヤモンドは、ルビーやエメラルドのような色石とは違い、カットによって独特の輝きが生まれます。ダイヤモンドの宝石としての価値は、カットによって大きく左右されるのです。
ダイヤモンドのカットはどのように生まれ、発展してきたのでしょうか。
紀元前からダイヤモンドが産出されていたのがインドです。しかし、インドではまだカットの技法は知られていませんでした。
ヨーロッパにダイヤモンドが伝わってからも、その価値は天然の鉱物としては珍しい正八面体の結晶であることや非常に硬いこと、あるいは遠くインドからもたらされたという神秘性だったようです。
また、中世キリスト教の時代はダイヤモンドの神秘性はむしろ迷信として排斥され、ダイヤモンドは宝石の中でも低いランクに甘んじていました。
例えば、ダイヤモンドのカットの基礎的な技法がすでに知られていたルネッサンス後期(16世紀)でも、ダイヤモンドの価格はルビーやエメラルドより低く、ルビーの8分の1以下だったそうです。
ダイヤモンドは地上で最も硬い鉱物であり、ダイヤモンドを研磨するにはダイヤモンドを使うしかありません。
14世紀頃、ダイヤモンドの結晶同士を擦り合わせて磨く方法が考案されたとされます。ただ、それは原石の表面を削って光沢を出し、反射を良くするためのものだったようです。
表面の研磨(反射)だけでなくカットがなぜ大事かというと、ダイヤモンドの美しさは反射とともに屈折という光学現象から生じるからです。
反射はダイヤモンド表面での光の照り返しですが、屈折とは光がダイヤモンドのなかに入って、そこで折れ曲がって再び表面から出てくる現象をいいます。
さらに、光が屈折する際にはプリズムと同じで光が分散します。
これらがあいまって、ダイヤモンドならではの輝きが生まれるのです。
では、地上で最も硬い鉱物であるダイヤモンドがなぜカットできるのでしょうか。
ダイヤモンドの結晶は、全ての方向に対して炭素の配列が同じわけではありません。炭素が層状に並ぶ方向があり、層と平行に割れやすい性質があります。
そのほかにも、結晶構造の関係で切断可能な方向があり、多くの研磨職人の研究によってカット技法が発展していきました。
ダイヤモンドのカットは通常、真上から見たときの形(シェイプ)で名前が付けられています。
例えば、洋ナシ形がペア・カット、楕円になったものがオーバル・カット、長方形がエメラルド・カット、正方形がプリンセス・カット、ハート形はハートシェイプ・カット、などです。
光学理論と数学をベースにしたダイヤモンドの理想的なカットが1919年、マルセル・トルコフスキーというダイヤモンド加工の専門家よって発表されました。
しかし、このカットはそれ以前のカット法に比べて大幅に歩留まりが悪く(原石の半分以上が捨てられる)ため、あまり普及しませんでした。
その後も様々なカット法が研究され、現在はラウンド・ブリリアンカットが最も一般的なカット法となっており、GIA(Gemological Institute of America)によるカットグレードが用いられています。
また、カットの精度を追求する中で、ハートやキューピッドの矢に似た形が浮かび上がることも分かってきました。
解説例:
http://www.cgl.co.jp/services/heart-cupid.html
ダイヤモンドの魅力はカットによって生まれているのです。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
くわしくはライフジェムジャパンのホームページでご確認ください。
http://www.lifegem.co.jp/