相続のルールが変わる?
相続に関する法律で最も重要なのが、民法の第5編「相続」です。その内容を約40年ぶりに大幅に見直す改正民法が7月6日の参院本会議で可決、成立しました。
この改正で、平成32年(2022年)春から相続のルールの一部が大幅に変わる見込みです。この機会にぜひ、理解しておきましょう。
- 配偶者居住権の創設
今回の改正で一番の目玉は、「配偶者居住権」ができたことです。亡くなった人の配偶者は、それまで住んでいた自宅の所有権が別の相続人に渡っても、自宅に住み続けることが認められます。
また、配偶者が遺産分割の対象の建物に住んでいる場合、遺産分割が終了するまでは無償で住める「配偶者短期居住権」も設けられます。
- 婚姻20年以上の夫婦の優遇策
現在、自宅を配偶者から生前贈与されていても、相続が発生したときには遺産分割の対象となります。
これが改正後、結婚20年以上の夫婦であれば、配偶者が生前贈与や遺言で譲り受けた住居は「遺産とみなさない」という意思表示があったとして、遺産分割の対象外となります。
そのため、配偶者は自宅を手放す必要がないだけではなく、他の財産の配分において有利になり、老後の生活の安定につながります。
- 自筆証書遺言の方式緩和と法務局における保管
これは当ブログでも以前、詳しくご紹介しましたが、自分で作成する遺言書の形式要件がかなり緩和されます。
以前、自筆証書遺言は「全文を自書する」ことが求められ、誤字などによるトラブルも起きていました。それに対して改正後は、財産の一覧を示す「財産目録」はパソコンで作成してもかわないなど、随分使いやすくなります。
また、自筆証書遺言を法務局で保管できる制度が新しく設けられます。公的機関である全国の法務局で自筆証書遺言を保管し、相続人が遺言の有無を簡単に調べられるようになります。
- 相続の不公平感の是正
民法上、相続権があるのは配偶者や子、父母、兄弟姉妹など一定の範囲の親族に限られます。
それに対し今回の改正で、いとこや孫などの6親等以内の血族、義母や子の配偶者など3親等以内の姻族であれば、亡くなった人の介護などに尽くした場合、相続人に対して金銭を請求できるようになります。
例えば、義父を介護してきた長男の妻などが当てはまります。ただし、事実婚や内縁など、戸籍上の親族(血族または姻族)でない人はこれまでと同じく、請求はできません。
- 金融機関の「仮払い制度」の創設
現在、銀行等の金融機関は、遺産分割協議が成立するまで原則として、亡くなった人の預貯金の払戻や名義変更に応じません(いわゆる「口座凍結」)。
今回の改正で、遺産分割協議が終わる前でも、生活費や葬儀費用の支払いなどのために亡くなった人の預貯金を金融機関から引き出しやすくする「仮払い制度」が創設されます。
ご自分の場合、どのような影響がありそうか、一度、確認することをお勧めします。
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