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「散骨」のスタイル(2)

2018年11月1日

洋上での「海洋葬」に対し、地上で散骨を行うスタイルとしては、花や樹木の根元などに埋める「樹木葬」が知られています。

もちろん、その辺の山へ行って勝手に埋めるわけにはいきません。

 

「樹木葬」は、1999年に岩手県の大慈山祥雲寺(現在は長倉山知勝院)が始めたとされます。

このお寺が行う樹木葬は、里山の雑木林に遺骨を埋め、墓石、カロートなどの人工物は設置しません。その代わり、埋めた場所が分かるように、山ツツジなどの花木を植えます。

 

墓地というよりまさに、里山の雑木林と一体化するものです。

ホームページでも、「雑木林づくりと墓地が合体した、散骨ではない新しいかたちの自然な葬法」とされています。

 

ここでいう「散骨」は、1991年頃から広まった海洋葬のことを指しているのかもしれません。

 

※長倉山知勝院ホームページ

http://www.jumokuso.or.jp/description/index.html

 

一方、現在、全国各地で行われている樹木葬の多くはこれとは違い、墓地の一角にシンボルツリーを植え、その周囲に遺骨を埋葬するスタイルです。

 

さらに、遺骨の埋葬にあたって、共同埋葬にするスタイルと個別埋葬にするスタイルがあります。

 

東京都立の小平霊園の場合、布袋に入れた遺骨を共同埋葬するものを「樹林墓地」、3本のシンボルツリーの下、芝生に覆われた墓域に遺骨を個別埋蔵するものを「樹木墓地」と区別しています。

 

個別埋蔵する場合は、通常のお墓にかなり近いといえます。

 

※小平霊園の樹林型合葬埋蔵施設

https://www.tokyo-park.or.jp/reien/facilities/type.html

 

 

さらに、「樹木葬」とは違いますが、無人島に遺骨を撒くというスタイルがあります。

 

手掛けているのは、戸田葬祭サービス(東京・板橋区)という会社。島根県の隠岐諸島の中ノ島(海士町)にある、カズラ島という島を使います。

 

役員が海士町の出身という縁でカズラ島を所有し、散骨のために利用しているそうです。

 

島は大山隠岐国立公園の第一種特別地域にあり、建築物や構築物が一切認められません。

上陸して散骨できるのは臨時の桟橋が設けられる5月と9月のみ。それ以外の時期は、対岸に設けられた慰霊所から遥拝できます。

 

2008年の開始からいままで100件以上の利用があり、地元とも散骨や慰霊に訪れる親族の受け入れなどで良い関係ができているといいます。

 

※自然散骨カズラ島ホームページ

http://www.kazurajima.jp/

 

ひと口に「散骨」といっても様々なスタイルがあります。

葬送や追悼のあり方が多様化している表れといえそうです。

 

 

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