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民法改正で新しくできた「配偶者居住権」とは?(2)

2019年2月4日

配偶者の生活の安定を目的に、2020年4月1日以降の相続から適用される「配偶者居住権」。実際には、配偶者が亡くなるまで住み続けられる長期居住権と、相続開始から一定期間だけ住むことができる短期居住権の2種類があります。

それぞれ、どう違うのでしょうか。

 

  • 相続から最低6か月間、無償で住めるのが短期居住権

 

まず、短期居住権(正式には「配偶者短期居住権」)から見ていきましょう。

 

これは、相続が発生してから一定期間はほぼ無条件に、配偶者が自宅に住み続ける権利を認めるもので、具体的には下記のような権利です。

 

<短期居住権の概要>

権利の主体  :被相続人の配偶者

主張できる権利:遺産である建物(自宅)に無償で居住すること

権利主張の相手:遺産分割前の他の相続人や遺産分割で建物(自宅)の所有権を取得した者(配偶者以外)

主張できる期間:遺産である建物(自宅)の帰属が確定した日または相続開始から6か月経過する日のいずれか遅い日までの間、

権利の条件  :配偶者が遺産である建物(自宅)に相続開始の時に無償で居住していたこと

 

なお、短期居住権が認められる配偶者は、自分自身が住むことが必要で、他人に貸したりすることはできません。

 

  • 配偶者が生涯、住んだり貸したりできるのが長期居住権

 

これに対して長期居住権(「配偶者居住権」)は、より長く、配偶者が建物(自宅)を使用・収益できるものです。具体的には下記のようになっています。

 

<長期居住権の概要>

権利の主体  :被相続人の配偶者

主張できる権利:遺産である建物(自宅)を生涯、無償で居住したり収益したりすること

権利主張の相手:他の相続人や第三者

※第三者に対しては居住権の登記が必要

主張できる期間:終身(配偶者が亡くなるまで)

権利の条件  :①配偶者が遺産である建物(自宅)に相続開始の時に無償で居住していたこと

②遺産分割または遺言、死因贈与により配偶者が居住権を取得すること

 

短期居住権と比べて一番大きな違いは、配偶者が亡くなるまで、終身にわたって建物(自宅)に住むことが認められる点です。自分自身が住むだけでなく、他人に貸したりすることもできます。

さらに、短期居住権とは違って登記もでき、登記すれば第三者に対抗できます。

 

これは、建物(自宅)を所有権と居住権に分け、所有権は配偶者以外の相続人が持ち、居住権は配偶者が持つということです。

 

夫婦の一方が先に亡くなるケースを「一次相続」といいますが、これからは一次相続において配偶者居住権の扱いは非常に大きなポイントになると思われます。

 

※次回に続く。

 

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