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日本人はなぜ遺骨を大事にするのか(2)

2019年5月28日

日本と同じように、インドでは一般に人が亡くなると荼毘(火葬)に付します。

歴史的にはインドの火葬が世界で最も古く、日本もその影響を受けて火葬をするようになったようです。

 

ただし、インドでは火葬にした後が、日本とは大きく異なります。

よく知られるように、ヒンドゥー教徒は骨や灰をガンジス川に流してしまいます。

骨や灰へのこだわりというか、執着がまったくありません。

 

なぜなら、ガンジス川を流れる水は「聖なる水」とされ、沐浴すれば罪が清められ、遺灰を流せば輪廻からの解脱が得られると信じられているから。

 

横浜市でインド料理店を経営するインド人シェフのブログには、こんな経験が紹介されています。

このシェフ(ハリオムさん)はニューデリー出身で、やや長くなりますが、お父さんが亡くなったときの様子がよく分かります。

 

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人がなくなってから、ガンガに葬られるまではいったいどうなっているのか。

まずは、居住地域ごとに定められていて、国が管理している火葬場に行って遺体を火葬します。

レンガで囲われた焼き場の中に、薪を積み上げた上に遺体を置いて、更にその上に 薪を積み上げて火をつけます。

4日後に骨を拾いに行きます。その時、まだ骨は熱くてさわれないほどなので、牛乳と水を混ぜたものをたっぷりかけて、冷やします。

遺骨を入れるための故人の名前と住所の入った専用の袋に、遺骨をおさめます。 そのまま、火葬場に13日後まで安置します。

13日後に骨を引き取り、斎場(昔は自宅で行うことが多かったですが最近は斎場でやることが多いです。)で、お坊さんを呼んでお葬式をします。お葬式自体は、日本で言う告別式とほとんど同じです。

お葬式が終わったら、そのまま車に乗り込みガンガ(※注:ガンジス河)に向かいます。 ニューデリーからガンガまでは、だいたい200キロぐらい。

その間、大変なのは、その骨の入った袋をどこかに置いてはいけないということ。必ず誰かが持っていなければならないのです。

それは男性に限られますが、主に息子の役目です。息子がいない場合は、亡くなった人の男の兄弟、男の兄弟もいない場合は、一番近い親戚の男性が持ちます。

ガンガで骨を葬る場所も決まっています。私たちの姓はMehraといいますが、ハリドワール(※注:ガンジス川沿いの聖地)の特定の場所が「Mehraさんちはココ」という感じで決まっています。日本で言ったら、「山田さんちはココ」と決まっていて、そのあたりに住む「山田さん」はみんなそこにやってくるという感じです。

ハリドワールには案内人がいて、私たちは案内人の指示に従い記帳してから川に骨を入れます。

この案内人は、父親も祖父も曽祖父も代々ずっと案内人です。この時記帳するノートは、案内人の手によって大昔からずっと保管されていて、葬られた人の名前と喪主(主に長男)の名前が記入されています。

ずっと遡っていくと、祖先の名前や亡くなった日を知ることができます。ちなみに、私の友人は10代前まで調べることができたそうです。

お父さんが亡くなった時、ほんの川岸に骨を置いてくださいという案内人の指示に、私は強く反発しました。だって誰かが川に入って、お父さんの骨が踏んづけられたりしたらイヤじゃないですか。

それでも案内人が「大丈夫」というので、指示に従いました。

そしてその骨がどうなるのか、じっと見ていました。

お父さんの骨は2時間ぐらいで、砂糖が水に溶けるかのようにガンガの水と融合してしまいました。ガンガの水がなにからできているのかは知りませんが、holy powerにあふれていることは間違いありません。

 

※参照 http://raani.org/faq/ganges.htm

 

 

父の骨がガンジス河に溶けていくのを静かにじっと見ているご家族の姿を想像すると、「こういう弔いも素敵だな」という感じがしてきます。

 

みなさんはいかがですか。

 

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