日本人はなぜ遺骨を大事にするのか(7) ―琉球や奄美地方の「洗骨」風習―
ここまで様々な角度から見てきたように、日本人は昔から亡くなった人の骨(遺骨)を大事にする民族といえるようです。
それは長い歴史の中で、様々な要因が関係していると思われますが、そのひとつとして指摘されているのが、「洗骨(せんこつ)」の風習です。
「洗骨」とは文字通り、亡くなった人の遺骸をいったん土葬や風葬などにした後、骨を海水や酒で洗い、改めて埋葬するものです。
こうした風習は、東南アジアやオセアニア、インド洋諸島、アフリカ、さらには北米先住民にもみられるとされます。
日本では琉球や奄美地方で古くから洗骨の風習が伝えられており、洗骨を納めた15世紀終わり頃の厨子(骨壺)があります。
琉球王国では戦前まで洗骨をして納骨されていた記録が残っており、民間ではさらに比較的、最近まで行われていたようです。
洗骨は通常、死者の妻や娘など近親者の女性によって行われます。本来は日が落ちたあとに行い、日中は太陽にさらされるのを忌み、傘などで日よけをするといいます。
こうした沖縄や奄美の洗骨をテーマにしたその名もずばり「洗骨」という映画が、2019年2月に公開されました。
監督・脚本はガレッジセールのゴリこと照屋年之氏。主演は奥田英二氏です。
※公式ホームページ掲載のストーリーより
洗骨───。
今はほとんど見なくなったその風習だが、沖縄諸島の西に位置する粟国島などには残っているとされる。粟国島の西側に位置する「あの世」に風葬された死者は、肉がなくなり、骨だけになった頃に、縁深き者たちの手により骨をきれいに洗ってもらうことで、晴れて「この世」と別れを告げることになる。
沖縄の離島、粟国島・粟国村に住む新城家。長男の新城剛(筒井道隆)は、母・恵美子(筒井真理子)の“洗骨”のために、4 年ぶりに故郷・粟国島に戻ってきた。
実家には、剛の父・信綱(奥田瑛二)がひとりで住んでいる。生活は荒れており、恵美子の死をきっかけにやめたはずのお酒も隠れて飲んでいる始末。
そこへ、名古屋で美容師として活躍している長女・優子(水崎綾女)も帰って来るが、優子の様子に家族一同驚きを隠せない。様々な人生の苦労とそれぞれの思いを抱え、家族が一つになるはずの“洗骨”の儀式まであと数日、果たして 彼らは家族の絆を取り戻せるのだろうか?
※映画『洗骨』予告編 http://senkotsu-movie.com/
洗骨の風習は世界的にも広くみられ、また日本では縄文時代にすでに数は少ないものの洗骨の例があったことが確認されているそうです。
本ブログで以前取り上げた、古墳時代の殯(もがり)も、洗骨を伴う儀礼であったと説もあります。
現代を生きる私たちの中には、こうした古い記憶がどこかで受け継がれているのかもしれません。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
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