相続の新しいルール、知っていますか?(6) 「自筆証書遺言」の保管制度
約40年ぶりに相続法(民法相続篇)の大改正が行われ、2019年1月より順次施行されています。
今回は「自筆証書遺言」の保管制度について取り上げます。
- 検認が不要で紛失などのリスクも解消
前回、紹介したように、自筆証書遺言は2019年1月13日から方式が緩和され、財産目録をパソコンで作成したり、不動産については不動産登記事項証明書を添付したり、預金については通帳の写しを添付すればよいことになりました。これによって、自筆証書遺言の作成が以前より簡単になるものと期待されます。
自筆証書遺言についてはもう一つ、改正があります。「法務局における遺言書の保管等に関する法律」という新しい法律によって、2020年7月10日から保管制度が設けられるのです。
自筆証書遺言は原則、遺言する人が法律に定められた方式に沿って作成すればそれで構いません。ただし、自筆証書遺言の執行には、家庭裁判所の「検認」という手続きを受けなければならず、そもそも紛失や焼失、偽造などのリスクもありました。
こうした問題に対応するのが、自筆証書遺言の保管制度です。
この制度では、自筆証書遺言を作成した人が直接、まだ封のされていない自筆証書遺言を住所地や本籍地などの法務局(遺言保管所)に持参して申請します。
申請を受けた法務局では、自筆証書遺言の原本を保管するとともに、次のような情報が磁気ディスクで管理されます。
<遺言保管所に保管される情報>
・遺言書の画像情報
・遺言書に記載されている作成の年月日
・遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍
・遺言者に受遺者がある場合には受遺者の氏名住所
・遺言書で遺言執行者を指定している場合は、その者の氏名、住所
・遺言の保管を開始した年月日
・遺言書が保管されている遺言書保管所の名称および保管番号
この保管制度のメリットは大きく2つあります。
ひとつは、家庭裁判所での「検認」の手続きが不要になり、遺言の執行がスピーディーに進む可能性があります。
もうひとつは、遺言書の紛失や焼失、偽造などのリスクがなくなることです。自筆証書遺言は原本しかなく、失われれば内容を確認するすべはありません。それに対し保管制度では、原本が法務局(遺言保管所)に保管されるとともに、保管情報のバックアップがとられており、大災害で特定の法務局がダメージを受けても大丈夫といわれます。
なお、申請の手数料は数千円程度ではないかといわれています。
自筆証書遺言を検討している方には、注目されます。
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