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相続の新しいルール、知っていますか?(7) 相続が発生すると銀行口座は凍結されるってホント?

2019年9月19日

約40年ぶりに相続法(民法相続編)の大改正が行われ、2019年1月より順次施行されています。

今回から3回にわたって、亡くなった人(被相続人)の銀行口座からの預金の引出しについて取り上げてみます。

 

銀行預金などは「可分債権」というのが以前の判例

 

「相続が発生すると当分、亡くなった人の口座からお金は引き出せなくなる」「遺産分割が終わるまで口座は凍結される」といった話を聞いたことはないでしょうか。

 

しかし、実際のところはどうなのでしょうか。

 

そもそも亡くなった人が持っていた財産のうち、銀行などに預けてあった預金などは「債権」の一種(預けたお金を返してくれといえる権利)です。

「債権」には、ビールを30本買って届けてもらう場合のように分割して問題ない「可分債権」と、車を1台買って納車してもらう場合のように分割できない「不可分債権」があります。

そして、銀行預金などは長年、「可分債権」であるとされてきました。

 

とすれば、相続においては、亡くなった人が持っていた「可分債権」である銀行預金などについては、相続と同時に法定相続分に従って相続人に引き継がれ、遺産分割の対象とはならないはずです。

実際、以前は原則として、相続人はそれぞれ、自分の法定相続分に応じて、銀行などに亡くなった人の口座から払戻しを請求することができました。

 

ただ、“原則として”と曖昧な言い方をしたのは、訳があります。

銀行の窓口では、亡くなった人の口座からの払戻しにあたって、遺産分割の話し合いの結果を示す遺産分割協議書や有効な遺言の提示を求められ、それらを提示できないと拒否されることがあったからです。

 

銀行としては、ある相続人が主張する法定相続分に応じて払戻しを行った後で、相続人の顔ぶれが違っていたとか(法定相続分が変わることになります)、法定相続分とは異なる内容の遺言が発見されたりすると、再度、払戻しに応じなければならなくなるリスクがありました。

そのため実務上の対応として、証拠がないと支払いには応じなかったのです。

 

かつて言われていた「口座凍結」といった“噂話”は、金融機関の窓口においてよく見られた実務上の対応のことを指していたといっていいでしょう。

 

そして、あまり知られていませんが、柔軟な対応も実際には行われていたようです。

例えば、葬儀費用の支払いのため、口座からの引出しが必要だった場合、葬儀の見積書などを提示すれば、その分の払い戻しを受けられたりしていました。

 

 

※次回に続く

 

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