相続の新しいルール、知っていますか?(9) 銀行ごとに最高150万円まで引出し可能に
約40年ぶりに相続法(民法相続編)の大改正が行われ、2019年1月より順次施行されています。
前々回から3回にわたって、亡くなった人(被相続人)の口座からの預金の引出しについて取り上げています。
民法改正で相続時の預金債権の扱いを柔軟に
前回、2016年の最高裁の判例変更で、相続において亡くなった人が金融機関に預けていた預金は遺産分割協議が成立するまで、原則として「口座凍結」されることになった経緯を説明しました。
しかし、それでは葬儀代の支払いや亡くなった人の借金の返済、お金のない相続人の当面の生活費などについて、いろいろ不都合が生じます。
そこで今回の民法改正では、亡くなった人の口座から預金を遺産分割前でも引出せるようにしたのです。
まず、今回の民法改正においても、亡くなった人の銀行預金(実際にはそのお金を引き出す権利=債権)については、最高裁判例のとおり不可分債権のままです。
その上で、亡くなった人の預金のうち一定額は、遺産分割協議が成立する前でも引き出せることになりました。
一定額とは、銀行ごとに、次のいずれかを上限とします。
①「預金額の3分の1」×「引き出そうとする相続人の法定相続分」
②法務省令で定める額(150万円)
ただし、亡くなった人の預金額は相続開始の時で固定し、その後、増えたり減ったりしても影響しません。
もし、他の相続人が先に無断で引き出していて残高がなければ引き出すことはできないので注意が必要です。
施行日は2019年7月1日ですが、それ以前に相続が発生していても、施行日以降は引き出せるようになります。
このように、亡くなった人の預金の引出しは、紆余曲折を経たものの、民法の裏付けを得て、かなり柔軟に行えるようになりました。
これまでの“噂話”にとらわれず、相続人として自らの権利をきちんと行使するとよいでしょう。
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