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相続した親の家を売る場合の特例(1)

2019年10月24日

相続で親の家を相続したものの、誰も住まずに空き家のままにしている。そんなケースが近年、増えています。

総務省が5年に1回公表する「住宅・土地統計調査」でも、2018年10月時点で全国にある空き家は849万戸、住宅全体に占める割合は13.6%にも達し、年々、増え続けています。

賃貸に出すか、それとも思い切って売ってしまうか、迷っている人も多いでしょう。

 

判断材料として大きいのが、保有し続ける場合のコストです。

空き家にしておいても、土地や建物には固定資産税がかかります。また、相続する親の家は通常、築年数がかなり経っており、建物の修繕や設備の交換に費用がかかることも考えられます。

もし、賃貸に出して借り手が見つかるなら、そうしたコストをカバーできるかもしれませんが、人口減少の進む地方などではそれも難しいでしょう。

結局、相続した空き家の扱いとしては、売却が有力な選択肢とならざるをえません。

 

そこで注目したのが、相続した親の家(空き家)を売った時、税金の計算上、売却益から最高3000万円が差し引かれる「空き家の譲渡所得の3000万円特別控除」です。

この特例は3年前の2016年4月から導入されました。

親の住んでいた自宅は通常、建物の価値はほとんどなくなっていても、土地については売却益が出ることが多いでしょう。3000万円まで非課税になるメリットは大きいはずです。

ただし、この特例は要件が複雑で、分かりにくい面があります。重要なポイントを今回と来週の2回にわたり、整理してみます。

 

  • 対象となる住宅(空き家)

 

まず、親が自宅として亡くなる直前に住んでいた家(敷地を含む)で、次の3つにすべて当てはまる必要があります。

①1981年5月31日以前に建築されたこと

②区分所有建物登記がされている建物でないこと

③相続の直前において亡くなった親以外に住んでいた人がいなかったこと

 

①は、建物の耐震性能について、現在も適用されている「新耐震基準」以前、「旧耐震基準」で建てられた建物であることを意味します。「新耐震基準」で建てられた建物は対象外です。

ただ、ここがややこしいのですが、旧耐震基準の自宅を売却するに当たっては耐震リフォームが必要とされ、実際には取り壊して敷地のみを売却するケースがほとんどでしょう。

②の「区分所有建物」とは分譲マンションのことです。したがって、この特例は基本的に戸建て住宅のみが対象となります。ただし、戸建て住宅の中にも、完全分離型で親子が区分所有登記しているケースがあり、その場合は対象外となります。

③については、一緒に住んでいる人がいるかどうかもポイントなのですが、当初は実際に親が亡くなる直前まで自宅に住んでいることが必要でした。しかし、今年(2019年)4月からは、要介護等の理由で自宅を離れ老人ホームに住んでいた場合でも対象になります。

 

※次回に続く

 

 

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