相続の新しいルール、知っていますか?(10) 遺言でもらう不動産にも登記が不可欠に
約40年ぶりに相続法(民法相続編)の大改正が行われ、2019年1月より順次施行されています。
今回は、遺言によってもらった不動産の扱いについてです。
第三者への権利主張に不可欠な不動産登記
相続では、被相続人の財産に属した権利と義務が基本的に全て、相続人に引き継がれます。権利とは主に、不動産や動産の所有権、および預貯金などの債権です。
このうち、不動産の所有権で問題になるのが「登記」です。
不動産の所有権は、売買や贈与などの当事者間では登記なしでも相手方に権利を主張できますが、第三者に対しては登記がないと権利を主張できません。例えば、ある土地の所有者が別々の2人と売買契約を結んだ場合、不動産登記を先に備えた買主のほうが「自分がこの土地の所有者だ」と誰に対してでも主張できるのです。
ちなみに、不動産登記を備えることができなかったもう一人の買主は、売主に売買代金の返還と損害賠償を求めるしかありません。
相続では従来、例外的に遺言が優先
こうした不動産登記の効力にも例外があります。そのひとつが、相続における遺言の扱いだったのです。
相続が起きると、亡くなった人が所有していた不動産は法定相続分によって相続人の「共有」となります。その後、遺産分割協議で別の分け方をすることはできるのですが、いったんは “当然に”相続人の共有状態になるのです。
そして、法定相続分(共有持ち分)の登記は共有物の保存行為に当たり、相続人がそれぞれ単独でできるのが原則です。
さらに、特定の相続人にお金を貸している債権者なども、その相続人の法定相続分の不動産(共有持ち分)については、債権の担保を確保するため、相続人名義での登記を行えます。これを「債権者代位」といいます。
ところが従来、有効な遺言があり、遺言において特定の相続人に対して法定相続分を超えて不動産を相続させると指定されている場合は、登記の有無に関わらず、相続人間のみならず第三者に対しても、遺言が優先するとされてました。
それが今回の民法改正で、相続人が遺言でもらう不動産についても、登記がないと他の相続人などに権利を主張できないということになったのです。
※次回に続く。
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