「どうする所有者不明の土地① 相続未登記により20年後には北海道の広さに? 」
近年、全国で問題になっているのが所有者不明の土地です。地方の農地や山林を中心に、その面積はすでに九州の広さを超えるという推計もあります。
今回から、所有者不明の土地を巡る状況を見ていきます。
増田寛也氏が座長になって設けられた「所有者不明土地問題研究会」では2017年1月からワーキンググループを重ね、同年12月に最終報告を公表しました。それによると、所有者不明の土地は相続未登記によってネズミ算的に拡大しており、今後も多死社会・大量相続時代を迎えてますます深刻な課題になるとしています。
所有者不明土地とは、所有者台帳(不動産登記簿等)によって所有者が直ちに判明しない、あるいは判明しても所有者に連絡がつかない土地のことです。
例えば、登記名義人が死亡して相続人が把握できなくなっている土地、所有者は特定できたが所有者の所在が不明な土地などがあてはまります。
国土交通省の平成28年度地籍調査(563市区町村における約62万筆)のサンプル調査によると、登記簿上の所有者の所在が不明な土地は20.1%にものぼります。
不明率は、DID(人口集中地域)で14.5%、宅地17.4%、農地16.9%、林地25.6% となっており、特に林地は4分の1に達します。
その結果、2016年時点での所有者不明土地の面積は約410万haと推計され、これは九州の土地面積(約367万ha)より広いのです。
さらに日本は今後、多死・大量相続時代に突入します。すでに2018年の死亡数は約137万人で、出生数約92万人の1.5倍に達します。さらに今後は年間160万人を超える見込みです。
土地の相続候補者へのアンケート調査からは、2020~2040年に発生する土地相続のうち、約27~29%が未登記になる可能性があるそうです。
今後、所有者不明土地の増加防止について新たな取り組みが進まないと、2040年までに新たに約310万haの所有者不明土地が発生し、合計約720万haになると予想されています。これは、北海道の土地面積(約780万ha)に匹敵する広さです。
所有者不明土地が増えると、様々な経済的損失が生じます。例えば、公共事業や民間事業のための用地取得のための探索コスト、スムーズに事業が進まないことによる機会損失コスト、不法投棄の廃棄物処理など管理不行き届きによるコスト、固定資産税など税の滞納などです。
これによる損失は、2017~2040年の累積で約6兆円にのぼると推計されています。
こうした状況を背景に、今や「土地は預貯金や株式に比べて有利な資産」であると考える人の割合は、平成5年(1993年)の62%から平成29年(2017年)には30%へ半減し、「そうは思わない」という割合が同42.5%にまで増えています。 また、「土地を所有することに負担を感じたことがあるか、または感じると思うか」に同意する割合も42.3%に上ります。
土地に対する日本人の意識はいま、劇的に変化しているといえるでしょう。
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