どうする所有者不明の土地③ 相続した土地はきちんと登記することが義務に
近年、全国で問題になっているのが所有者不明の土地。地方の山林を中心に、その面積はすでに九州の広さを超えるという推計もあります。
そこで国では今、所有者不明の土地を減らすため、様々な手を打ち始めています。
その一つが、被相続人が亡くなった際に相続登記の申請を義務付けることです。
法務省では現在、民法や不動産登記法の改正案の取りまとめを進め、2020年秋の臨時国会での提出をめざす見込みとされます。
主な内容として第一に、土地の相続登記の手続きが簡素化されます。
現在、相続登記する際はすべての相続人を確認することが必要です。亡くなった人(被相続人)が生まれてから亡くなるまでつながった戸籍を提出しなければならないなど、煩雑な手続きが必要です。
これを新しい制度では、亡くなった人(被相続人)の死亡を証明する書類があり、自分が相続人の一人だと証明できれば相続人全員がそろわなくても、簡易的に不動産登記できるようにします。
その不動産について、売買や賃借など取引をしたい外部の人にとっては、問い合わせ先の相続人がはっきりすることが期待できます。
第二に、一定期間のうちに登記しなかった相続人に対して罰則が設けられます。
具体的には「10万円以下」や「5万円以下」の罰金とする案があり、今後詰めていくことになるようです。
第三に、遺産分割協議は相続開始から10年までと期限が区切られます。そして、10年経過した後は法定相続分が確定することになります。
現在、遺産分割協議には法的な期限はなく、相続人間の話し合いが揉めるとそのまま放置されることになりがちでした。
期限を設けることで、遺産分割の話し合いが進むようになるかもしれません。
第五に、土地所有権の放棄が可能になります。
これまで、不動産の所有は税金の支払いなどの義務とセットであり、放棄を認めてしまえば課税逃れや管理費用を国に押し付けるといったモラルハザードを招きかねないとされてきました。
しかし、原案では「所有を巡って争いが起こっておらず、管理も容易にできる」ことを条件に、個人に限って(法人は除いて)所有権の放棄を可能にすることが明記されました。
放棄された土地はいったん国に帰属し、地方自治体が再開発などの用地として希望すれば取得できるような仕組みが検討されるようです。
今後の法案の審議は要注目です。
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