お墓と弔いの歴史(3)「葬送」のスタイルついて
いまやお墓と弔いのあり方はどんどん多様化しています。今東西、様々なお墓と弔いの歴史について取り上げていくシリーズ。
今回は、「葬送」のスタイルついて整理してみます。
「葬送」とは、亡くなった人の遺骸を葬り、お墓へ送ることを指します。
遠い昔から、時代により、地域により、社会により、様々な「葬送」のスタイルが生れ、広く行われ、あるものは途絶え、またあるものは現代まで続いています。
私たち、日本人にとって馴染み深いのは、「火葬」です。
遺骸を火葬場で燃やして骨と灰とし、それを骨壺に入れてお墓に納めるというのが一般的です。
現在、日本ではごく一部、伝統的に土葬を続けている地域もありますが、葬送の99.9%は火葬で行われています。
また、イギリス火葬協会が公表しているデータ(2017・2018年)によると、海外の火葬率はアメリカが53%、イギリスが78%、カナダが72%、スイスが96%、ドイツが67%などとなっており、年々、少しずつ上昇しています。
ただし、キリスト教でもカソリック派が多いフランス(36%)やイタリア(24%)、ロシア正教会が強いロシア(12%)など、宗教的な理由から低い国もあるようです。
宗教的な理由というのは、いずれ「最後の審判」の日が訪れ、すべての死者は復活すると信じられていることに関係します。
復活のためには遺体は火葬ではなく、そのまま土葬にしておくほうがよいということなのです。
そのため、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などでは「土葬」が選ばれ、「土葬」が葬送のスタイルとして主流となっている国や地域があるのです。
また、宗教上の理由ではなくても、日本を含め歴史的にみて、土葬は広く庶民の間で行われていた葬送のスタイルであることは間違いありません。
「火葬」と「土葬」のほかでは、遺体を川や海に流して葬る「水葬」があります。インドのガンジス川流域ではヒンズー教の儀式として行われているほか、航海中の船で亡くなった人を水葬にすることはいまでも普通に行われています。
例えば、日本船籍の船では船員法という法律に基づいて、航行中に亡くなった人を船長の権限で水葬にできます。
その場合、遺体が浮き上がらないような適当な処置を講じ、かつ、なるべく遺族のために本人の写真を撮影した上、遺髪その他遺品となるものを保管し、相当の儀礼を行わなければならないとされています。
「葬送」のスタイルとしてはほかに、遺体を荒野や野山の林などに置き去って風化するに任せる「風葬」「林葬」、遺体を専用の台や崖に置いてハゲタカなどに喰わせる「鳥葬」などがあり、これらは「遺棄葬」や「自然葬」とも呼ばれます。
これらは歴史的に見れば、日本も含めて庶民の間では広く行われていたと考えられています。
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