古代エジプトにおける死生観(2)太陽神ラーと冥界の神オシリス
古代エジプトの死生観の根底にあるのが、「死後の復活=永遠の生」という思想です。
その思想のベースとなり、また結晶といえるのがオシリス神話です。
古代エジプトには様々な神がおり、最も有名なのは太陽神ラーです。
ラーは、神々や人間を含む万物の創造者であり、生命や作物の源とされます。その姿は鷹、あるいは鷹の頭をした人間の形で表されます。古代エジプトの王(ファラオ)は、「ラーの息子」とされていました。
<太陽神ラーの姿>
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%83%BC
これに対してオシリスはもともと、穀物の神(農耕神)とされていました。
神話では、オシリスはエジプトの王として、小麦の栽培やパン、ワインの作り方を人々に教えたり、法律を制定したりして慕われていました。
ところが、これを妬んだ弟のセトに殺され、その遺体はばらばらにされ、ナイル河に捨てられたといいます。
妻であり妹でもあるイシスと冥界の神アヌビスはそこで、遺棄されたオシリスの体を拾い集め、包帯で巻いたミイラの姿で復活させました。
その後、オシリスは自分の子ホルスに王位を奪還させ、自分はあの世(冥界)の王になったというのです。
古代エジプトの神々の間では一貫して、太陽神ラーが最高神とされていました。ラーは生命の源です。
その一方、オシリスはあの世(冥界)を司る存在です。オシリスの力を借りれば、王(ファラオ)もまたオシリスと同じように復活し、永遠の生を手に入れられると信じられるようになりました。
こうして、次第にオシリスの立場が高まっていき、太陽神ラーとならんで重要な地位を占めるようになっていったのです。
<冥界の神オシリスの姿> ※包帯で巻かれたミイラの姿をしている
オシリス信仰の高まりとともに広まったのが、死者をミイラにする習慣です。
古代エジプトの人たちは、人が亡くなると、その肉体から魂が別れていくと考えていました。
いったん別れた魂はやがて肉体へ戻り、亡くなった人はあの世(冥界)で復活を遂げます。
ただ、あの世で復活するには肉体が必要です。そこで遺体をミイラとして、死者の魂が戻るまで保存することにしたのです。
紀元前2500年頃の古王国の時代、遺体がミイラにされたのは王(ファラオ)だけでした。
しかし、そのうち多くの庶民も来世で復活したいという願いを抱くようになり、ミイラにして埋葬することが広く行われるようになりました。
なお、ここでいう「復活」というのは、特定の名前を持った個人が、あの世(冥界)でよみがえり、永遠に生きるということです。
東洋的な「生まれ変わり」とか「輪廻」というイメージとは根本的に違う点は、留意しておくべきでしょう。
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