宗派によって「戒名」はどう違う?(2)
葬儀にあたって、故人に生前とは別の名をつけることが行われます。
よく目にするのが仏式「戒名」ですが、「戒名」は宗派によっていろいろな違いがあります。
そもそも、亡くなった人に授ける名前を「戒名」と呼ぶのは、天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、浄土宗などの宗派です。
これに対し、浄土真宗は「法名」、日蓮宗は「法号」と呼びます。
鎌倉時代初期に親鸞が開いた浄土真宗の場合、戒名ではなく「法名」と呼びます。
その理由は、戒律の捉え方にあります。仏教の多くの宗派では、戒律を守って修行することを誓った者に授けるという意味で「戒名」といいます。
一方、浄土真宗では、戒名を守って修行することが困難な俗世の人でも、阿弥陀如来の力によって救われ、仏となると考えます。
そのため受戒式がなく、仏の教え(仏法)をよりどころとして生きる者に授けるという意味で「法名」と呼ぶのです。
「法名」では「釈(または釋)」という一字が入り、「釈+法名(2文字)」という形が一般的です。女性の場合には「釈尼」なることもあります。
「釈」という字は釈迦(仏陀)を表し、釈迦の弟子(仏弟子)になったという意味です。
浄土真宗を開いた親鸞も、自身のことを「愚禿釈親鸞(ぐとくしゃくしんらん)」と名乗っていました。
なお、本山や菩提寺に貢献した人には「院号」が授けられることもあり、その場合は「院号(3文字)+釋/(釈)+法名(2文字)」となります。
日蓮宗の場合は、戒名を「法号」といいます。
宗祖の日蓮が日蓮宗を開いた鎌倉中期には末法思想が社会に広まっており、末法の世には細かい戒律は必要ないとする考えをとったとされます。これを「末法無戒」といって、日蓮宗諸派の教学となっています。
そこから、戒名ではなく「法号」と呼ぶようになったのでしょう。
法号(全体)は、「院号・道号・日号(法号)・位号」の組み合わせになっています。
また、法号(要素)の1文字目には「日」をつけるので、「日号」ともいわれます。
このように、戒名(法名や法号)に「釈」の文字が入っていれば浄土真宗、「日」の文字が入っていれば日蓮宗の門徒であるのではないかと推測できます。
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