古代日本における死生観(3) 「ニライカイナ」
仏教伝来のはるか以前から日本人が抱いてきた独自の死生観について、今回は沖縄や奄美に伝わる「ニラカイナ」を取り上げてみます。
古代の世界において、死後の世界(あの世、他界)が人々の意識の中で構造化されるとき、古代日本において縦の方向性においてイメージされたのが「黄泉国(よみのくに)」であり、横の方向性においてイメージされたのが「常世国(とこよのくに)」でした。
このうち、「常世国」と同じように横の方向性においてイメージされていたのが、沖縄や奄美に伝えられてきた「ニライカナイ」です。
ニライカナイは「ニライ」と「カナイ」に分けられ、「ニライ」は「根の方」という意味とする説が有力です。一方、「カナイ」は、琉球語に多い韻をとるための語(特に意味はない)とする説や「彼方」を意味するとする説があるようです。
なお、奄美では「ニルヤ」「ネリヤ」、八重山では「ニーラ」「ニール」「ニライスク」など地域のよって異なることも珍しくありません。
伝承では「ニライカナイ」は、遥か遠い海の彼方、または海の底、地の底にあるとされます。
年の初めにはニライカナイから神がやってきて豊穣をもたらし、年末には帰っていきます。また、人の魂もニライカナイよりやって来て、亡くなるとその魂はニライカナイに戻っていくとされます。
さらに、沖縄では亡くなってから7代経つとその魂は親族の守護神になるという信仰があり、ニライカナイは祖霊が守護神へと生まれ変わる場所でもありました。
なお、沖縄県南城市には「ニライカナイ橋」という絶景スポットとして有名な橋があります。
その名の通りニライ橋とカナイ橋という2つの橋でできており、海に向かって大きくS字カーブを描いています。橋の頂上側のトンネル上には展望台があり、青い海や夕日が眺められます。
「ニライカナイ橋」
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