女王陛下の遺言
2022年9月8日、イギリスのエリザベス女王(エリザベス2世)が96歳で死去されました。欧米では一般人も含めて遺言をすることはごく普通で、王室関係者も遺言を残しているケースが多いようです。
エリザベス女王の死去を巡ってのエピソード。今回は、女王陛下の遺言についてです。
- カミラ夫人の称号
一般人の遺言とは違って、王室関係者の遺言書の中身はほとんど表には出てこないものです。とはいえ、いろいろ生前から口にされていたことなど広い意味での「遺言」もあります。
エリザベス女王の場合、そのひとつがチャールズ国王(チャールズ3世)のカミラ夫人の称号についてです。
通常、国王の妻は「王妃(クィーン・コンソートあるいはクィーン)」の称号を名乗ることになります。
しかし、チャールズ皇太子とカミラ夫人が結婚した当時、将来、チャールズ皇太子が国王になったとき彼女は王妃(クィーン・コンソート)ではなく、「国王夫人(プリンセス・コンソート)」として呼ばれるとされました。
これは、チャールズ皇太子とダイアナ妃との離婚、そしてダイアナ妃の事故死に関連してイギリス社会からの反発が強かったからです。エリザベス女王自身も、カミラ夫人のことはかなり嫌っていたといわれます。カミラ夫人もチャールズ皇太子と結婚後、ダイアナ妃が使っていた「ウェールズ公妃」でなく「コーンウォール侯爵夫人」を名乗っていました。
しかし、その後のカミラ夫人の王室に対する献身的な貢献などもあり、エリザベス女王との関係は次第に改善。一緒にお茶を飲みながらいろいろ相談したりするようになったといわれます。
そして今年(2022年)の初め、エリザベス女王が即位70周年の声明で、チャールズ皇太子が国王になったときカミラ夫人が「王妃(クィーン・コンソート)」と呼ばれることを望んでいると述べたのです。
こうなると、カミラ夫人が王妃(クィーン・コンソート)と名乗ることはエリザベス女王の確固たる願いだと多くの人が受け止めました。まさに女王陛下の遺言として、強いメッセージとなったのです。
カミラ夫人とエリザベス女王
https://www.bbc.com/japanese/60276369
- 王族の遺言の多くは未開封
なお、イギリス王室の関係者の遺言の多くは未開封のまま保管されているといいます。例えば、エリザベス女王の夫であったエディンバラ公フィリップ殿下は2021年4月に99歳で亡くなられました。その後、イギリスの高等法院はフィリップ殿下の遺言を女王の「尊厳と地位」を守るために90年間、封印すると発表したのです。
英王室では100年以上、主要メンバーの死にあたって遺言をすぐに開示しないよう裁判所に求めるのが慣例となっており、イギリスの高等法院の担当判事のもとには封印された王室メンバーの遺言が30通以上、保管されているそうです。
エリザベス女王の場合、遺言書があればその扱いがどうなるのか、気になるところですが詳細は不明です。
なお、事故で亡くなったダイアナ元妃の遺言は、王室を離脱していたのでこれらには含まれません。その遺言は1997年の死後に公開され、息子たちが25歳になるまで資産の大半を委託するという内容だったことが分かっています。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
くわしくはライフジェムジャパンのホームページをぜひ、ご覧ください。