世界最大のブラックダイヤモンド「エニグマ」(2)
ダイヤモンドは炭素からできており、無色透明の宝石というイメージがあります。しかし、実際には様々なカラー(色)のダイヤモンドがあり、ブラックダイヤモンドもそのひとつです。2022年には555.5カラットというダイヤモンドとしても世界最大級のブラックダイヤモンドがオークションに出品され話題になりました。その名は「エニグマ(Enigma)」。エニグマとは「謎」という意味で、その結晶構造にも謎があります。
「エニグマ」を鑑定した米国宝石学会(GIA)によると、このダイヤモンドは26億〜38億年前に誕生した「カーボナード」と呼ばれるタイプのダイヤモンドです。
カーボナードとは、炭素の〝多結晶〟でできたダイヤモンドのことです。宝石として一般的な無色透明の〝単結晶〟のダイヤモンドと比べ、漆黒で不透明、かつ穴だらけで、物理的にも化学的にも異なる点がたくさんあります。
図表 単結晶ダイヤモンドの外観(八面体)と内部組織イメージ
※https://www.gia.edu/JP/diamond-description
※https://xn--qck0d2a9as2853cudbqy0lc6cfz4a0e7e.xyz/kiso/dia
図表 カーボナードの外観(c)と内部組織(d)
※https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-26287138/26287138seika.pdf
例えば、カーボナード(ブラックダイヤモンド)は単結晶のダイヤモンドに比べ、一定方向に割れやすい性質(劈開性:へきかいせい)がないため、より硬くなっています。
また、炭素原子には中性子の数が異なる炭素同位体があり、カーボナードの炭素同位体の割合は地球の奥深くで形成される単結晶のダイヤモンドよりはるかに軽いという特徴があります。
また、大きいことも特徴で、史上最大のダイヤモンドであるブラジル産カーボナード「セルジオ」は3167カラット(633.4g)もあります。
これまでのところカーボナード(ブラックダイヤモンド)が発見されたのは、南米のブラジルとアフリカの中央アフリカ共和国に限られ、両産地のカーボナードは細部までよく似ています。
この2つの国はいま大西洋を挟んで遠くはなれています。しかし、10億年以上前にはつながっていて「ロディニア大陸」という超大陸だったといわれます。一説では、このロディニア大陸に巨大隕石が落下し、カーボナードが生れたのではないかというのです。
なぜなら、カーボナードには共通してわずかな窒素や、宇宙の星間に豊富に存在する水素、隕石だけに見られるミネラルのオスボルナイト(窒化チタン)が含まれているからです。
ただし、太古の地球において地下深くのマントルで形成された可能性が高いとする学者もいます。
ブランクダイヤモンドはその生成過程についても多くの謎があり、それがまたブラックダイヤモンドの神秘性を高めているといえます。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
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