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世界最大のブラックダイヤモンド「エニグマ」(3)

2023年1月24日

ダイヤモンドは炭素からできており、無色透明の宝石というイメージがあります。しかし、実際には様々なカラー(色)のダイヤモンドがあり、ブラックダイヤモンドもそのひとつです。2022年には555.5カラットというダイヤモンドとしても世界最大級のブラックダイヤモンドがオークションに出品され話題になりました。その名は「エニグマ(Enigma)」。エニグマとは「謎」という意味ですが、いったいどこでどうやって生まれたのかというのが最大の謎です。

「エニグマ」は「カーボナード」と呼ばれるタイプのダイヤモンドです。

https://style.nikkei.com/article/DGXZQOUC225000S2A220C2000000/?page=2

 

 

カーボナードは炭素の〝多結晶〟でできたダイヤモンドで、宝石として一般的な無色透明の〝単結晶〟のダイヤモンドと比べ、漆黒で不透明、穴だらけで、物理的にも化学的にも異なる点がたくさんあります。

 

また、カーボナードには共通してわずかな窒素や、宇宙の星間に豊富に存在する水素、隕石だけに見られるミネラルのオスボルナイト(窒化チタン)が含まれているため、前回触れたように宇宙空間で生まれたのではないかという説もあります。

 

しかし、最近の研究ではカーボナードは基本的に、単結晶のダイヤモンドと同じく超高温高圧の地球の奥深く(地表に近い「地殻」と中心部の「地核」の間にある「マントル」と呼ばれるところ)でできたと考えられています。

 

ただ、炭素がダイヤモンドの結晶として育つ際の周囲の条件が少し違うことで、透明な単結晶ダイヤモンドになるか、カーボナードのような黒色の多結晶ダイヤモンドになるかに分かれたりするのです。

 

ちなみに、カーボナードの内部に含まれる微小な包有物の分析からは、海底プレートがマントルに沈み込んでできるエクロジャイトと呼ばれる変成岩や水などの成分に富んだ流体(C-H-O)が関係している可能性が高いとされます。

https://kaken.nii.ac.jp/en/file/KAKENHI-PROJECT-26287138/26287138seika.pdf

 

ダイヤモンドはすべて炭素が結晶化してできたものですが、その生れ方や姿形は微妙な条件の違いで多様性に満ちています。

 

 

 

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