天然ダイヤモンドが私たちに届くまで(5)―ダイヤモンドの鉱床発見と採掘―
地球上で発見される天然ダイヤモンドの多くは数十億年の昔、地球の深部で長い時間をかけて生まれました。そこからさらに地表にいる私たちのところに届くまでにはいくつものプロセスがありました。
天然ダイヤモンドの長い旅路について、今回はダイヤモンドが地表にまで運ばれた後、それがどのように人類によって発見され、発掘されたかについてです。
本シリーズの第3回目で触れたように、天然ダイヤモンドは地表から100kmあるいは150kmから300kmくらい下のマントル上部で数十億年前にゆっくりと結晶化し、さらにそれがより深いマントル下部で発生した「キンバ-ライト・マグマ」という高速で移動するマグマによって地表まで運ばれたと考えられています。
キンバーライト・マグマの噴出は12億年前から始まり1億年前くらいまで続いていたようです。
ただ、地表まで運ばれた天然ダイヤモンドを人類が発見するまでにはさらに時間がかかっています。
人類が最初に天然ダイヤモンドと“出会った”のは紀元前4世紀のインド、南部のゴルコンダ地方とされます。その後、ローマ時代から中世末までの長い間、ヨーロッパに運ばれたダイヤモンドはインドで産出されたものだけでした。
ゴルコンダ地方の天然ダイヤモンドは、かつての川底だった谷から見つかっています。こうしたダイヤモンドが含まれる川や海の底の堆積物を「2次鉱床」と呼びます。
それに対して、キンバーライト・マグマが噴出して冷えて固まった跡(キンバーライト・パイプ)を「1次鉱床」と呼びます。
つまり、地球の奥深くから地表まで運ばれた天然ダイヤモンドはまず、キンバーライト・パイプの鉱物に含まれていますが、その後長い年月をかけて風雨にさらされて回りが風化し、ダイヤモンドの原石が川から海へと流れ出しというわけです。
このことが分かったのは1871年に、南アフリカで「1次鉱床」であるキンバリー鉱山が発見されたことがきっかけです。「キンバーライト・マグマ」や「キンバーライト・パイプ」という名称も実は、キンバリーという地名からとられたもので、いわば後付けなのです。
その後、天然ダイヤモンドの産出は南アフリカのほか、ボツワナ、ロシア、オーストラリア、カナダなどの「1次鉱床」において行われています。なぜなら、1次鉱床のほうが一カ所に固まっていて採掘コストが低く、また大量に産出するからです。
なお、キンバリー鉱山では深さ360mまで露天堀りを行い、さらにその後はパイプの外側に縦坑を掘り下げて順次、横坑からパイプ内の鉱物を採掘しました。しかし、縦坑の深さが1200mにまで達すると鉱物中のダイヤモンドの含有量が大きく減ったため1915年、40年を超える歴史を終えて閉山しました。
その巨大な縦穴は「ビッグホール」と呼ばれ、現在は近くに鉱物博物館が設けられています。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
くわしくはライフジェムジャパンのホームページをぜひ、ご覧ください。