天然ダイヤモンドが私たちに届くまで(7) ―宇宙からやってきたダイヤモンド―
地球上で発見される天然ダイヤモンドの多くは数十億年の昔、地球の深部で長い時間をかけて生まれました。そこからさらに地表にいる私たちのところに届くまでにはいくつものプロセスがありました。
今回は視点を変え、宇宙からやってきたダイヤモンドについて取り上げます。
天然ダイヤモンドが生れるのは、地球の奥深く「マントル」と呼ばれる層の上のほう(地下100kmから300kmくらい)とされてきました。
しかし、前回ふれたようにダイヤモンドの中には地下700kmや、場合によってはマントルの最下部、液体や固体の鉄でできた核(コア)に接する2900kmあたりで形成されたと思われるものもあることが分かってきました。
なぜこのように幅があるのかといえば、もともとは高温高圧法により人工ダイヤモンドが合成される条件(10万気圧、2000℃以上)が分かり、そのような高温高圧の条件に合致する地下の深度でダイヤモンドが結晶したのだろうと考えられました。
しかし、その後、ダイヤモンドの内部に閉じ込められている微細な内包物(インクルージョン)を分析すると、より深いところでしか存在しないような物質が発見されるようになり、一気にダイヤモンドが形成されたと想定される深度が深くなったのです。
それほどダイヤモンドには謎が多く、その謎をさらにかきたてるのが宇宙からやってきたダイヤモンドです。
実は、地表で見つかるダイヤモンドの中には宇宙からやってきたものがあります。それは、
隕石の中から見つかるダイヤモンドです。
隕石からダイヤモンドが最初に発見されたのは1886年、今のロシアがまだ帝政ロシアだった頃のことです。ノボ・ユレイという村のはずれに一つの隕石が落下し、科学者たちがこの隕石を酸で溶かしてみたところ小さなダイヤモンドが含まれていることが分かったのです。同じタイプの隕石は発見された場所の地名にちなんで「ユレイライト」と名付けられ、これまで400個ほど見つかっています。
そしてほとんどの「ユレイライト」には、0.001㎜から0.01㎜ほどのダイヤモンドが含まれているのです。
最近では、2008年にスーダンのヌビア砂漠に落下したユレイライトの一部を調べたところ、やはり微小なダイヤモンドが含まれていることが分かりました。
https://www.bbc.com/japanese/43819433
電子顕微鏡で観察すると、このダイヤモンドには内包物として鉄や硫黄を含む特殊な鉱物が閉じ込めており、それら物は非常に高圧の状態でできた可能性が高いことも分かっています。
研究者によると、そうした圧力が生じるのは、初期太陽系にあった原始惑星の内部が想定されるそうです。
ダイヤモンドはその美しさだけでなく、様々な意味で謎に包まれた宝石なのです。
ご遺骨、遺灰からつくるメモリアルダイヤモンドについて
くわしくはライフジェムジャパンのホームページをぜひ、ご覧ください。