スマホの普及と「デジタル遺品」
いまやスマートフォン(スマホ)の利用は、若い世代だけでなく高齢世代にも広がっています。そこで問題なっているのが「デジタル遺品」の取り扱いです。「デジタル遺品」とは、スマホなどを通してインターネットから開設された口座記録やサブスクリプションなどのサービス契約のこと。通帳や契約書などとは異なり、デジタル情報なので遺族がその存在と内容を確認することは容易ではありません。
総務省の調査(令和5年8月末)では、インターネットを利用しているのは60代で90.2%、70代で67.0%、80代でも38.4%に達します。
また、インターネットを利用するためスマホを所有しているのは60代で78.3%、70代で49.4%に達します。もはや世代を超えてインターネットとスマホは生活になくてはならないものとなっているのです。
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/240607_1.pdf
こうした中で浮上してきたのが「デジタル遺品」の問題です。デジタル遺品に明確な定義はありませんが、要はスマホなどを通じ、インターネット上でやりとりされた株などの口座記録のほか、音楽配信などのサブスクリプション契約などが該当します。
これらはデジタル情報であり、アクセスするには亡くなった人のスマホなどの画面ロックを解除するとともに、口座やサービスの名称、ID、パスワードを知る必要があります。亡くなった人が何らかの形で記録を残していないと、遺族がその内容を確認したり契約解除したりすることはかなり難しいといえるでしょう。
最近は、国民生活センターへの相談も増えているようで、2024年11月には『今から考えておきたい「デジタル終活」-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-』と題した報告書が公表されました。
https://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20241120_1.html
そこには次のような事例が紹介されています。
―― 故人が利用していたネット銀行の手続きをしたくてもスマホが開けず、ネット銀行の契約先がわからない。
―― コード決済サービス事業者の相続手続きが1カ月以上たっても終わらない。
―― 故人が契約したサブスクの請求を止めたいが、IDとパスワードがわからない。
こうした事態を避けるには、万が一の場合に遺族がスマホやパソコンなどのロックを解除できるようパスワードを記録して残しておくことです。また、オンラインの証券会社等については会社名・口座番号・ID・パスワード、デジタルサービスの契約についてはサービス名・ID・パスワードも記録しておきます。
もちろん、普段は他人に簡単に知られるのを避ける必要もあり、工夫が必要です。国民生活センターの報告書では、次のような方法が紹介されています。
手順1:名刺大の紙にパスワード等を記入し、パスワード部分に修正テープを2~3回重ね 貼りしてマスキングして保管しておく。万が一、誰かが修正テープ部分を削ってパスワードを見たことに気付いた場合は、すぐにパスワードを変更するなどして対処する。
あるいは、パスワードをそのまま書かず、家族にだけわかる合言葉(「パートナーの誕生日」など)を記載する方法もある。
手順2:遺族が必要なときにコインなどで修正テープ部分を削ってパスワードを把握する。
なお、亡くなった人が株の取引をしていたか不明な場合は、証券保管振替機構(ほふり)に必要書類を添えて開示請求を行うことで、証券口座の開設先を調べることが可能です。手数料は相続人の場合は6050円です。
https://www.jasdec.com/procedure/shareholders/disclosure/direct/
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